【レポート】文化人類学カフェ20140823

Posted by on 8月 30, 2014 in Staff Blog, まいづるRB, 老人ホームで学ぶ、シリーズとつとつ | 【レポート】文化人類学カフェ20140823 はコメントを受け付けていません。

【レポート】文化人類学カフェ20140823

あるテーマに基づいて、グレイスヴィルまいづるの入居者、職員さんはもちろん、小中学校の教員、新聞記者、主婦、造船所職員、移動カフェマスター、はたまた大学研究者や芸術家など、幅広い人々と共にひたすら真剣に雑談するカフェ。結論は出しません。マスターの文化人類学者の豊平豪と常連さんの西川勝と共にゆるい、でも大真面目な場を作る。ここ最近のテーマは「ファッション?」「髪の毛について」「家?」などなど

テーマ「地名???」
日時:2014年8月23日(金)19:00~20:30
マスター:豊平豪(文化人類学研究者)
常連さん:西川勝(臨床哲学者・看護師)
参加者:8名
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今回のテーマは「地名」。まいづるRBでは6月26、27日と9月12日の3回シリーズで「まいづる自分・地名」という企画をやっています。これは地名の由来を知り、生活の中でどのように生まれるのか、地名が生まれる感覚をつかみ取ってみようというもの。ともあれ、地名のことを考えると、その場所がとても身近に感じられるようになりますよね。


以下話の断片メモ。
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地名にはいろいろ由来があるとされます。

たとえば、地すべり地名や崩落地名。これは災害が多いところを指し示す標識の役割を果たしていたようです。農林水産省が2008年にまとめた「地すべり災害を予防・軽減するための活動の手引き」にも、これらは記されています。
「大崩」(千葉県、新潟券)や「おおくぼ(大窪、大久保)」(青森県、和歌山県など)は地すべり地名として有名です。広島で大災害を被った安佐南区八木地区が、本来は「八木蛇落地悪谷(じゃらくじあしだに)」だったのはネットで話題にもなりました。八木蛇落地悪谷→八木上楽地芦谷→八木と変化したそうです。さもありなんな感じです。

逆に舞鶴の地名「公文名(くもんな)」。地元の人が「くもん」と呼ぶこの地は、中世、年貢の徴収などを行った庄官「公文」の田んぼだったところを指し示します。公文名の名(みょう)とは名田(みょうでん)から来ているそう。「公文さんの田んぼ」、つまりは災害が起こりにくい一等地だったということですね。逆災害地名といえるかもしれません。

 

他にも、水銀地名というのもあります。水銀が産出していたことを指し示す地名です。舞鶴だと丹生(にゅう)とか女布(にょう)などがそうですね。ただ、最近の郷土史家の研究で舞鶴の場合、水銀ではなく、酸化鉄で地面が赤かったから、という説が出ています。丹は赤を指し示すので、この解釈も面白いです。

また、「みんながそう呼ぶから地名」って呼びたくなるのもあります。京都の哲学者西田幾多郎が歩いたとされる「哲学の道」もそうですし、西川さんによると釜ヶ崎にも、炊き出しで有名な三角公園(ほんとは萩之茶屋南公園)と四角公園(ほんとは萩之茶屋中公園)という公園があるそうです。

参加者のおひとりから借りたごみ集積場所の名称リストにも「原っぱ」や「ドレメ前」など、不思議な地名が並んでいます。「わかる人にしかわからない地名」ですね。

「まいづる自分・地名」では町歩きをしながら、地名を名付けていき、その地名で別人に歩いた道程を説明するというワークショップをしました。自分地名を他人と共有していくと、その土地がどんどん身近に、色鮮やかに感じられてきます。もしかしたら、そこに「公共」というものの萌芽があるのかもしれません。

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さて、上記してきたように、地名はその土地の名札のようなものだと考えられます。しかし、その根底には人間の認識システムがあります。人は何かをみると、その他と区別するために分類し、命名せざるを得ません。そして、命名された側は容易にその「呪縛」から逃げることはできません。

1970年代に部落地名総監事件というのがありました。部落の地名が記された一覧が闇で売買されていたという事件です。会社などの人事部がこれを買い、入社希望者の出身地が総監に載っていた場合入社を拒否する。生まれたところが、つまり地名が原因で差別される。縛られる。そんなこともあります。

詳しくは知りませんが、本籍地や戸籍登録制度は日本独特のものだそうです(違ったらすみません)。たとえばアメリカでは出生証明書がありますが、出生地はさほど重要でありません。日本では生まれた土地で国民は細かく管理されます。これも考えてみれば不思議ですね。

 

地名の話から、アイデンティファイの話まで、相変わらずにいろんなところに楽しくはずんだカフェでした。ちなみに最後はゾンビ映画の話になったのですが、それはまたどこか別のところで。

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